メニュー

バイオメカニクス (41)

[2024.07.01]

皆様 こんばんわ

当院の処置室にやっとカーテンがつきました。今までは即席のパーテーションで覆っていただけですが、カーテンがついたことによってやっとクリニックらしくなりました。当院のスタッフのお手製DIYですが大したものです。すこしでも処置後に過ごしやすくなっていただけると幸いです。

昨日は、2つの勉強会をオンラインですが参加してきました。1つはエコーといえばこの先生、宮武和馬先生です。整形疾患から肘の見方をしっかりと勉強させていただきました。もう一つは痛覚変調性疼痛研究会です。痛覚変調性疼痛は体の損傷などの明らかな原因がなくても痛みが長引く場合があり、脳の神経回路の変化が影響し痛みを出している疼痛と言われています。

ブログでも、度々登場しますが①侵害受容性疼痛②神経障害性疼痛と並んで3大疼痛分類(そう言われているかは不明^^)の一角でかなり慢性疼痛に影響を及ぼしている疼痛です。一度そちらについてもまとめなければいけませんね。

 

 

さて、いよいよパーソナルトレーニングの勉強らしい講義に突入してきました。今日はバイオメカニクスについて勉強していきたいと思います。

 

バイオメカニクス

バイオメカニクスは、筋肉の構造や機能を力学的に解析し、その動作や役割を理解することを目的とした研究分野です。

人体の運動や動作を力学的視点から分析し、そのメカニズムや効率を理解することを目的とした学問で、骨格、筋肉、関節の機能や相互作用を含めて、身体の動きを詳細に解析することが含まれます。そのためには筋肉についての多くの知識が必要となります。

そこでまず大事なのは筋肉の形状です

筋肉の形状は、その機能や力の発生に大きな影響を与えます。筋肉の形状にはいくつかの異なるタイプがあり、それぞれ特定の動作や役割に適しています。

紡錘状筋(Fusiform Muscles)

紡錘状筋は、中央が膨らみ、両端が細くなる形状を持つ筋肉です。この形状は、長い筋線維を持つため、広い範囲の動作を可能にします。主に、速い収縮と大きな可動域を必要とする動作に適しています。

例えば上腕二頭筋や腓腹筋があります

羽状筋(Pennate Muscles)

羽状筋は、筋線維が腱に対して斜めに配置される形状を持つ筋肉です。この配置により、多くの筋線維が同じ腱に付着できるため、非常に大きな力を発生することができます。羽状筋は、力強い収縮を必要とする動作に適しています。

羽状筋にもさらに種類があり

  • 単羽状筋:筋線維が片側から腱に付着する。

    • 例: 長趾伸筋

  • 二羽状筋: 筋線維が両側から腱に付着する。

    • 例: 大腿四頭筋の中の大腿直筋

  • 多羽状筋:多方向から筋線維が腱に付着する。

    • 例: 三角筋 

などが挙げられます。

平行筋(Parallel Muscles)

平行筋は、筋線維が平行に並んでいる筋肉です。この形状は、長い収縮を可能にし、持続的な動作に適しています。平行筋は、細長い形状を持つことが多く、収縮の際に筋肉の長さが大きく変化します。

外腹斜筋や縫工筋が挙げられます。

他にも挙げられますが、筋肉の形状は、その機能に密接に関連しています。特定の形状は特定の動作に最適化されており、それぞれの形状が異なる運動や力の発生に適しています。これにより、人体は多様な動作を効率的に行うことができます。例えば、速い動作を必要とする部分には紡錘状筋が多く、強い力を必要とする部分には羽状筋が多く見られます。

そして、次に大事なのは筋肉の力の出し方です

筋肉と力の発生

筋肉は骨に付着し、収縮することで関節を動かします。筋収縮の種類(等尺性、等張性、等動性)や筋線維のタイプ(速筋、遅筋)は、力の発生と動作に影響を与えます。筋力は腱を通じて骨に伝達され、動作を引き起こします。腱や筋膜の柔軟性も力の伝達に重要なわけです。

そこで大事になってくるのが動作の分析、いわゆるバイオメカニクスです。

  1. 運動学:身体の動きを時間と空間の関数として記述します。これは位置、速度、加速度などを計測し、解析することで行われます。
  2. 運動力学:動作中に発生する力やトルクを分析します。これは地面反力や関節モーメントなどを含み、力学的原理を用いて動作を理解します。

この2つの物理学はバイオメカニクスを語る上でとても大事になります。

筋活動の三つの形態:短縮性、伸長性、等尺性

筋肉は運動や力を発生させるために収縮し、さまざまな方法で機能します。その中で、収縮性筋活動、伸長性筋活動、そして等尺性筋活動という三つの形態があります。これらの筋活動は、それぞれ異なる役割と特徴を持ち、トレーニングやリハビリテーションにおいて重要な意味を持ちます。今回の項ではとりあえずこの3つの筋活動パターンだけでも覚えていってもらえると良いと思います。

収縮性筋活動(Concentric Muscle Action)

収縮性筋活動とは、筋肉が収縮して短くなる際に発生する活動です。筋肉が力を発揮しながら骨を引っ張り、関節の角度を減少させます。例えば、バーベルを持ち上げる際の上腕二頭筋の収縮や、階段を上がる際の大腿四頭筋の動作がこれに当たります。収縮性筋活動は、速い収縮と広い可動域を必要とする動作に適しています。

収縮性筋活動は、エネルギー消費が高く、筋肉のサイズと力を直接的に増加させるのに有効です。スポーツや筋力トレーニングにおいて、動作の開始や加速に重要な役割を果たします。特に、爆発的な力を発揮するためのトレーニングでは、収縮性筋活動が重要となります。

伸長性筋活動(Eccentric Muscle Action)

伸長性筋活動は、筋肉が力を発揮しながら伸びる際に発生します。この活動では、筋肉が負荷に対抗してゆっくりと引き伸ばされ、関節の角度が増加します。例えば、バーベルをゆっくり下ろす際の上腕二頭筋の収縮や、階段を降りる際の大腿四頭筋の動作がこれに当たります。伸長性筋活動は、同じ筋肉の短縮性活動よりも大きな力を発生させることができ、エネルギー消費も低いという特徴があります。

伸長性筋活動は、筋繊維に大きなストレスを与え、筋損傷(筋肉痛)を引き起こしやすいですが、この過程が筋力と筋量の増加に寄与します。また、伸長性トレーニングは筋肉の強度と耐久性を向上させるために非常に効果的です。リハビリテーションにおいても、伸長性活動は怪我からの回復を助け、筋肉の再教育に役立ちます。

等尺性筋活動(Isometric Muscle Action)

等尺性筋活動は、筋肉が力を発揮しているが、その長さが変わらない状態で発生します。関節の角度も変わらず、筋肉は静的に力を発揮します。例えば、壁に向かって手を押す動作や、重い物を持ち上げて静止している状態がこれに当たります。等尺性筋活動は、特定の関節角度での筋力向上に役立ちます。

等尺性筋活動は、筋肉と関節に負担をかけずに力を発揮することができるため、リハビリテーションや筋力の維持において重要です。また、等尺性トレーニングは、特定のスポーツ動作において、安定性や持久力を向上させるためにも利用されます。

まとめ

収縮性、伸長性、そして等尺性の筋活動は、それぞれ異なる役割と特性を持ち、総合的な筋力トレーニングやリハビリテーションにおいて重要です。収縮性筋活動は爆発的な力を発揮するため、伸長性筋活動は筋力と耐久性を向上させ、等尺性筋活動は特定の関節角度での筋力を強化します。これらの活動をバランスよく取り入れることで、効率的なトレーニングと効果的なリハビリテーションが実現できます。それぞれの筋活動の理解を深めることで、個々の目標に合わせた最適なトレーニングプランを設計し、より健康的で強い体を作り上げることができるのです。

では次回はより深くバイオメカニクスを見ていこうと思います!では!

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME