特殊治療番外編 末梢神経をより詳しく1(13)
おはようございます!
2023年もいよいよ終りに差し掛かってまいりましたね。私にとっては勝負の年でしたが、開業の方は皆様のおかげで良いスタートを切ることができてとてもありがたく思っております。この気持ちを2024年も続けて走っていこうと思います。よろしくお願いいたします!
さあ、今日は特殊治療番外編として皆様にぜひ知っていただきたい末梢神経のお話しをしようかと思います。
神経とは、私たちの体の中で情報を伝達する役割を担う、非常に重要な部分です。神経系は大きく分けて二つの部分から成り立っています。それは、中枢神経系と末梢神経系です。
中枢神経系は脳と脊髄から構成されています。これは、体のコントロールセンターのようなもので、感覚、思考、運動など、様々な機能を司っています。
一方末梢神経系はそれ以外の部分、つまり脳と脊髄以外の部分にある神経から構成されています。これには、身体の感覚情報を中枢神経系に伝える感覚神経と、中枢神経系からの命令を筋肉などの器官に伝える運動神経が含まれます。
末梢神経系は、身体の感覚情報を中枢神経系(脳と脊髄)に伝えたり、中枢神経系からの指令を筋肉や他の器官に伝えたりする役割を担っています。また、自律神経系も末梢神経系の一部であり、心拍、消化、呼吸などの自動的な体の機能を制御しています。
そして、その末梢神経は運動枝と知覚枝に分かれます。運動枝がやられればもちろんそこの神経が支配している筋肉の出力が低下します。知覚枝がやられればそこを支配している皮膚の感覚が低下したり、痛みが出たりします。
そこで、我々ははまずMMTと言って筋肉の出力を細かく見ていくことが大事になってきます。細かく筋肉の出力を見ることで、神経のどの部位でやられているかということを特定することができます。さらに感覚を細かく見ていくことでより厳密にどこの神経から障害されているかを特定します。
例えば、橈骨神経と言う神経を見てみましょう。
今これを読んでいてくれているあなたが、夜大好きな彼女と寝ているときにカッコつけて夜通し腕枕をしたとします。すると、橈骨神経は腕のレベルでダメージを受けます。そうすると、サタデーナイト症候群というように、上腕から下のレベルが運動、知覚含めて全て低下するため、手首と指がまとめて下がります。腕のレベルでは運動神経も知覚神経も含んでいますので下の図のように下垂手になり知覚異常もでます。
一方で回外筋症候群は、手首を司る筋肉の出力は保てている部位(それらの神経は避けて)で障害を受けるため指のみ上がらず知覚も正常です。
橈骨神経の運動枝が障害を受けた場合とその先で受けた場合で、障害の出方がこのように違います。さらに感覚で見ると、もっと細かい部位が特定されます。例えば親指だけしびれている場合は、橈骨神経の浅枝という所の障害だということがわかりますし、その前の後前腕皮神経の障害ということもわかります。
それは下肢痛の場合も同様なことが言えます。つまり、坐骨神経痛と言われているものの中には、脊柱管狭窄症から来るものもあれば、純粋に坐骨神経の通り道で、何かしらの障害が起きている場合もあると言うことです。(何かしらの障害というのが大きな味噌なのですが、そこについてはまた後日)
これらの分類をすることでどこからの神経障害かをおおよそ特定することが可能になります。画像所見も大事ですが、何より最も重要なことは身体所見だと私は思っております。
ただ、厄介なことに神経の通り道がただ1箇所で障害を受けていると言う事は実はあまりないように思います。1つの通り道で交通事故が何箇所かで起きているようなイメージでしょうか。
脊柱管狭窄症のように、中枢側に近いところでやられているものに対して、さらに末梢でも同様に障害を受けているケースは多くあるように思います。つまり、脊柱管狭窄症がありながら、末梢の絞扼障害がある場合です。
神経は冒頭に述べたように、中枢と末梢からなります。中枢ののうや脊髄の変性などは私の力では太刀打ちできませんが、脊髄のレベルでも脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアならば以前にお話ししたようにラッツカテーテルで戦うことができます。
神経が脊柱管より外か中か。まずはそこの見極めが重要になります。加えて、神経自体の問題か神経周囲の環境の問題か、それが重要です。脊柱管内か神経根レベルか、その先の神経叢かはたまたさらに先か、次回はもっと細かく見ていきましょう。
神経障害でお困りの方は1度当院までお越し下さい。