腰痛(椎間板ヘルニア) 2024上半期(1月から6月まで) 疾患別ベスト5 第1位(54)
皆さんこんにちは、昨日、一昨日はわちゃわちゃ系というエコーフリーク仲間が集まる勉強会を奈良のまえだ整形で前田学先生のもと行いました!
私は講師側の参加ですが、受講される先生方々は名のしれた先生方ばかりでもう緊張しっぱなしでした^_^
次は静岡の私のクリニックで行う予定?
さて、では腰痛の代表格とも言える椎間板ヘルニアについてお話しして行きましょう
椎間板ヘルニアは、背骨(脊椎)の間にある椎間板(ついかんばん)が損傷し、内部の髄核(ゼリー状の物質)が外に飛び出し、神経を圧迫することによって発生する疾患です。この圧迫によって腰痛や足の痛み、しびれ、筋力低下などの症状が現れます。
椎間板の構造と役割
椎間板は、脊椎の椎骨と椎骨の間に位置しているクッションのような構造で、以下の部分から構成されています
- 外側の繊維輪(せんいりん): 椎間板の外側を囲んでいる丈夫な組織で、内部の髄核を保護する役割を果たしています。
- 内側の髄核(ずいかく): 椎間板の中心にあるゼリー状の物質で、衝撃を吸収し、脊椎の柔軟な動きを助けます。
椎間板は、脊椎にかかる圧力や衝撃を吸収する役割があり、私たちの背骨が柔軟に動くことを可能にしています。
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアの発生メカニズム
椎間板ヘルニアは、次のようなメカニズムで発生します:
- 椎間板の劣化: 加齢や長期間の負荷により、椎間板が劣化します。特に、外側の繊維輪が弱くなると、内部の髄核が外に飛び出しやすくなります。
- 髄核の飛び出し: 椎間板にかかる圧力が高まると、内部の髄核が繊維輪を突き破り、外に飛び出します。この飛び出した髄核が、隣接する神経根や脊髄を圧迫し、痛みやしびれを引き起こします。
- 神経圧迫: 飛び出した椎間板が神経根を圧迫することで、痛み、しびれ、筋力低下などの症状が現れます。
椎間板ヘルニアの主な原因
- 加齢: 椎間板は年齢とともに水分を失い、弾力性が低下します。これにより、繊維輪が弱くなり、ヘルニアが発生しやすくなります。
- 過度の負荷: 重い物を持ち上げる動作や、腰に強い負荷がかかる姿勢が椎間板にダメージを与えることがあります。
- 姿勢不良: 長時間の座り仕事や、猫背などの不良姿勢は、椎間板にかかる圧力を増加させ、ヘルニアのリスクを高めます。
- 遺伝的要因: 家族に椎間板ヘルニアの既往歴がある場合、遺伝的にリスクが高まることがあります。
椎間板ヘルニアの主な症状
症状は、飛び出した髄核がどの神経を圧迫するかによって異なります。腰椎や頚椎(首の部分)に発生することが多く、以下のような症状が現れます:
腰椎椎間板ヘルニア(腰に発生する場合)
- 腰痛: 椎間板が神経を圧迫することで、腰に痛みが生じます。
- 下肢の痛みやしびれ: 飛び出した髄核が坐骨神経を圧迫すると、痛みやしびれが腰からお尻、脚にかけて広がります(坐骨神経痛)。特に、片側の脚に痛みやしびれが現れることが多いです。
- 筋力低下: 圧迫された神経が筋肉に十分な信号を送れなくなるため、足や脚の筋力が低下し、歩行が困難になることがあります。
- 感覚異常: 神経の圧迫により、脚や足にピリピリした感覚や感覚の鈍さが生じることがあります。
頚椎椎間板ヘルニア(首に発生する場合)
- 首の痛み: 首や肩に痛みが生じます。
- 腕や手のしびれ: 飛び出した髄核が腕や手に向かう神経を圧迫すると、しびれや痛みが現れます。
- 腕や手の筋力低下: 圧迫された神経が筋肉に十分な信号を送れなくなり、腕や手の筋力が低下します。
椎間板ヘルニアの診断方法
- 問診と身体診察: 医師は、症状の経過や痛みの場所を確認し、神経学的な検査を行います。これには、筋力や感覚、反射のテストが含まれます。
- 画像検査:
- MRI(磁気共鳴画像): 椎間板や神経、周囲の組織の詳細な画像を取得し、椎間板の飛び出しや神経の圧迫を確認します。椎間板ヘルニアの診断に最も有効な検査です。
- CTスキャン: 脊柱の骨や椎間板の構造を確認するために行われます。
- X線検査: 椎間板そのものは映らないものの、脊椎の骨の変形やずれを確認するために行われることがあります。
椎間板ヘルニアの治療方法
治療は、ヘルニアの程度や症状の重さに応じて決定されます。初期治療は保存療法が中心となりますが、重症例では手術が必要となることもあります。
ただし、椎間板ヘルニアは病態により時間経過と主に自然退縮していくことが一般的であるので、神経ブロックやその他の保存療法で経過を見るということも多くあります。
椎間板ヘルニアのガイドラインから引用すると
・症候性の腰椎椎間板ヘルニアは 60%以上の例で画像上の退縮が認められる.
・Sequestration type(髄核分離)と extrusion type(線維輪完全断裂を伴う脱出)のタイプは吸収されやすい
・造影 MRI でリング状に造影されるヘルニアは吸収されやすい.
・吸収が起こる時期は不明であるが,3ヵ月以内に吸収される例が少なくない.
とのことで、手術にいたる割合は,症状や脱出形態により異なり保存的治療後に手術に至るのは 2~5 割程度と幅があり,術前の症状の強さにある程度 関係している.とされています
ということは保存治療が確実に椎間板ヘルニアには一役買うわけであり、その保存療法の選択こそが鍵となる!!わけです
1. 保存療法(非手術的治療)
- 薬物療法: 鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬:NSAIDs)や筋弛緩薬が処方され、痛みや筋肉の緊張を緩和します。神経痛が強い場合は、プレガバリンやガバペンチンなどの神経障害性疼痛薬が使われます。
- 理学療法(リハビリテーション): 腹筋や背筋を強化し、姿勢を改善するエクササイズが行われます。これにより、脊柱への負荷を軽減し、症状の悪化を防ぎます。
- 神経ブロック注射: 神経に局所麻酔薬やステロイド薬を注射し、痛みを一時的に緩和します。これは、強い痛みがある場合に有効です。前回の脊柱管狭窄症同様、硬膜外ブロックと神経根ブロックが代表例です。
- インターベンション治療:大きく切るような手術まですることのない非侵襲的な治療法です
椎間板ヘルニアのインターベンション治療
インターベンション治療の中には、椎間板の圧力を下げ退縮を図るものと、椎間板と神経の間の炎症をとり剥離をするものの2パターンがあります。より根治的なのは椎間板自体を取るものとなりますがそちらは内視鏡手術となります。
以下は、各椎間板ヘルニア治療法について、費用、侵襲度、回復時間、および効果を比較したものです。
2. 手術療法
保存療法で改善しない場合や、神経障害が進行する場合は手術が検討されます。椎間板ヘルニアに対する手術には、以下の方法があります。
- 椎間板摘出術(ディスク摘出術): 圧迫された神経を解放するために、飛び出した椎間板の一部を切除する手術です。
- 内視鏡手術: 内視鏡を使った最小侵襲手術で、椎間板の一部を取り除きます。傷口が小さく、回復が早いのが特徴です。
- 脊椎固定術: 椎間板の損傷が重度である場合、金属器具を使用して椎骨を固定することもあります。
もちろん手術適応のヘルニアはすぐに然るべき処置(ご紹介)を取らせていただきますが、椎間板ヘルニアでお困りの方は当院までお越しください。